探県記 Vol.45

旧美歎(みたに)
水源地水道施設

(2015年11月)

KYUMITANISUIGENCHISUIDOUSHISETSU

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緑の森にひっそり眠る国の重要文化財
近代化遺産、旧美歎水源地水道施設(きゅうみたにすいげんちすいどうしせつ)

 

のどかな自然が広がる鳥取市国府町の、豊かに流れる美歎川を北上すると、不思議な風景に出会います。
 
レンガ造りの門柱、鉄筋コンクリート造りのドーム型上屋(うわや)など、点在する建造物はどれもデザイン的で美しく、西洋の古代遺跡を彷彿させます。
 
 
この異質で興味深い場所は、100年前の大正4年(1915)、鳥取市民の水がめとして機能していた近代水道施設の遺構です。
 

「大正時代のものがまとまって残っている近代水道施設は、秋田県の藤倉水源地と、この旧美歎水源地しかありません。近くに寄ったら、古代遺跡みたいですよ」と話す、鳥取市文化財団理事長の木谷清人隊員。
 

「昭和53年(1978)、人口増加に追いつかず、その役目を新しい水源地に引き継いで稼動を終えましたが、当時の高度な技術には目を見張るものがあります」と話す、鳥取県土地改良事業団連合会の会長、木村肇隊員。
 

国内屈指の遺構公園をめざして
ただいま整備事業が進行中!

 

この水道施設は、山陰地方で最初に建設された近代水道施設の代表的な遺構であり、貯水池はもちろん、量水施設やろ過施設など、一連の施設がすこぶる良好な状態で保存されていて、日本の近代水道施設の構成を知る上でとても貴重なものなのだそう。
 
昭和60年(1985)には近代水道百選に選定され、平成5年(1993)には国の重要文化財に指定されています。
 
「こんなに素晴らしい遺構が残っていることを、みなさんご存知なのでしょうか? これからは管理と活用が大切になってきますね」と内山キャプテン。
 
現在、旧美歎水源地水道施設とその周辺は、2017年度の完成をめざして、建造物の保存修理事業と環境整備事業が進行中。2年後には、鳥取市の新たな観光スポットになっているのかもしれません。
 

【アクセスについて】
●旧美歎水源地水道施設へのアクセス/JR山陰本線「鳥取駅」より車で約30分
●鳥取県鳥取市国府町美歎上町87番2

【WEBサイト】旧美歎水源地水道施設