探県記 Vol.34

田吾作

(2015年8月)

TAGOSAKU

234

 

日本一の居酒屋と評される
食通の隠れ家「田吾作」

 
JR益田駅から徒歩で15分ほど、細い道に入った山手の住宅街の一角に、とある雑誌で「日本一の居酒屋」と評された食事処、田舎料理「田吾作」があります。店の入口に架かる渋い暖簾に、武骨な太文字で白抜きにした店名が、味に自信ありと言わんばかりで期待大。切妻屋根のどっしりとした店構えも、歴史を感じさせる風格があります。

 
暖簾をくぐり、靴を脱いで下駄箱の中へ入れたら、下足札を忘れずに。階段で地階へと下ります…と思いきや、お店の入口は2階にあたり、地階かと思ったのが1階部。丘陵地という立地が、不思議な隠れ家感をさらに盛り上げています。

 
「元は、戦後すぐに建てられた木造のアパート。その後、簡易旅館に改装されて、24年前にこの店を始めました」と女将さん。階段横の生け簀で、ピチピチ跳ねて活きの良い魚を見定めているのが、2代目となる息子さんです。
 
店内で最初に目に飛び込んでくるのは、古民家の台所を思わせる大きな厨房。カウンターの内側では、女将さんたちが、手際よく丁寧に、次から次へと料理を仕上げています。
 
「おもしろそうな店ですね」と内山キャプテン。
「お客さんがあれば、よくこの店に連れて来ます。みんな喜びますね」とは、JR益田駅の桑原満夫駅長です。
 

全国の一級河川の中で唯一ダムのない清流
高津川が育む、日本一の鮎と巨大ハマグリ。

 
「季節の地元野菜で作るお煮しめや、手作り豆腐など、田舎料理をお出ししています。特にお魚にはこだわりがあって、益田港はもちろん、高津川で獲れる魚介を、新鮮なうちにお召し上がりいただいています」と女将さん。
 
「全国の一級河川の中で、高津川だけが唯一ダムのない清流です。高津川の鮎は、この清流で育つ良質の苔を食べて、薫り高く成長するんです」と息子さん。
骨ごとぶつ切りにした「背ごし」、新鮮な内臓に塩をふった「生うるか」、そして「塩焼き」は田吾作特製の梅酢でいただきます。

 
益田の特産という巨大ハマグリには、一同びっくり。高津川と益田川が交わる水域でだけ獲れるハマグリは、7㎝以上の大きさがないと獲ってはいけないルール。名物「酒蒸し」は、巨大ハマグリ1個で充分です。

 
料理の評判を耳にした人々が、全国から足を運ぶという「田吾作」。この味、この雰囲気、確かに納得です。

 
【アクセスについて】
●田吾作へのアクセス/JR山陰本線「益田駅」から徒歩約15分
●島根県益田市赤城町10-3
【WEBサイト】 田吾作