探県記 Vol.24

隠岐酒造

(2015年6月)

OKISHUZO

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島根県唯一、環境省選定「名水百選」の地で
江戸期から脈々と続く酒造り

 
ほの暗い蔵の中、見上げるほどの巨体なタンクが整然と並ぶ大酒蔵は、隠岐諸島唯一の蔵元、隠岐酒造です。
 
隠岐酒造は、昭和47年(1972)、隠岐にあった5つの老舗蔵元が「共に生き残れる道の最善の手段」として一致団結。隠岐酒造株式会社として創業しました。代表銘柄は「隠岐誉」です。
 
日本海に浮かぶ隠岐は、対馬暖流がもたらす雨や霧のお陰で、豊かな森に恵まれ、酒造りに適した良質な水が、島の至る場所に湧き出ています。
島内に湧く「壇鏡の滝湧水」と「天川の水」は、島根県でこの2つだけ、環境省選定の「名水百選」に指定される名水です。
 

洋酒のような日本酒!?
おいしさに国境はないのです。

 
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が隠岐に滞在したとき、飲んだ酒が「隠岐誉 江戸の純米酒」。
のちに、友人に宛てた手紙の中で、こんな感想を書いています。
「日本食と良く合い、色はレモネードのようで、シェリー酒のように強いが、酔い心地が良くて、翌日残らない」と。

 
「本当だ、日本酒っぽくないですね」と笑顔の御秒さん。なんでも酒豪だとの噂です。
 
変わり酒では、樫の樽で6年以上、じっくり寝かせて醸す古酒、完熟海藻焼酎「わだつみの精」があります。樫樽の香りの中に、磯の香りがほのかに漂うこの熟成酒には、こんなエピソードがあるのだそう。
ある日の、グルメが集うワイン会。食事の途中、名前を伏せて出されたお酒の名前を当てることに。すると、参加メンバー10人全員が、めいめいにヨーロッパのお酒の名前をあげたのだとか。
 
「知らなければ洋酒だと思っちゃいますよ。これは驚き」と錦織監督
「これが海藻なんですか〜なんだか信じられないな〜」とキャプテン。ふたりともイケる口です。
 

隠岐酒造 毛利彰さん

「日本独特の麹文化のひとつである日本酒は、日本の気候風土、日本人の勤勉さ、丁寧さ、繊細さなど、おもてなしの心で醸された匠の技術の結晶です。オールジャパンで、日本酒・焼酎の魅力と認知度の、向上と輸出促進に取り組むため、推進プロジェクトを発足させています」。
そう話していただのは、隠岐酒造の毛利彰さん。
歴史の島から発信される酒造りは、日本代表として世界をも目指してます。
 
【アクセスについて】
●隠岐の島 隠岐の島町へのアクセス/境港・七類港から隠岐汽船で西郷港下船
●隠岐酒造へのアクセス/西郷港から車で7分
●島根県隠岐郡隠岐の島町原田174番地