探県記 Vol.111

藍染工房ちずぶるー

(2017年6月)

AIZOME KOBO CHIZUBLUE

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「女性が喜ぶ本物のお土産をつくりたい!」
女性のために女性が始めた藍染工房ちずぶるー

 
鳥取県の東南エリア、周囲に1,000m級の中国山脈の山々が連なる八頭郡智頭町は、総面積の9割以上を山林が占める林業の町。350年以上といわれる植樹の歴史があり、町内には樹齢300年以上の人工林が残り、ここで育つ智頭杉は、奈良の吉野杉や京都の北山杉に並ぶ高い評価を受けています。
 
豊かな森に守られ、清らかな水が走る、静かな智頭町内に、藍染工房ちずぶるーがあります。
創業は、地元の女性9人での出発でした。きっかけは、こんな発想から───男性の智頭土産には地酒があるのに、女性のお土産が智頭にはないから、女性に喜ばれる本物のお土産をつくりましょう───。
こうして、藍染めは川を汚さないことを知ると、平成8年から岐阜県の藍染家・堀部すみゑ先生に師事。藍染料づくりから、絞り、型染め、ローケツなど、様々な染色技法を学ぶこと約10年。平成17年にようやく、藍染工房ちずぶるーが始動したのです。

 
「私たちの藍染めは、種を蒔(ま)くことから始まります。蓼藍(たであい)を育て、収穫した藍葉を醗酵させて染料の蒅(すくも)をつくり、天然藍染めを行います」と代表の江口俊恵さん。

 

 
「ちずぶるー」と称される表情豊かな青色でつくる商品は、のれん・手ぬぐい・風呂敷から、バッグ・ショール・テーブルライナーなど様々。図柄も、花やリーフなど色々ですが、やはり智頭杉をモチーフにした「杉木立」が、ちずぶるーの代名詞でしょう。

 
YYショールを試着する木谷清人隊員。男性にも実によく似合います。
「同じ藍でも、こんなに微妙な色のバリエーションがあるんですね」
ピンク・紫・グレー・ベージュ等々、醗酵の具合でどんな色が出るのかは仕上がるまでわからないのだそう。ですから、どの商品も、世界にたったひとつなんです。

 

展示会を開けば完売の人気商品
若き後継者の育成も進行中!

 
ではここで、小谷寛隊員が藍染め体験。
「空気に触れると色が変わるので、液から出さないで、まず3分間。その後、水にさらします。これを繰り返し行っていきます」と、ちずぶるーの矢部恵美子さん。

 

 
「だんだん腰が痛くなってきましたよ。結構キツいですね」と、ちょっと弱音をはいていた小谷隊員ですが、液から上げたばかりのときは黄色だったハンカチが、水にさらすと魔法のようにキレイなブルーに発色します。
「ビックリした!これが化学反応なんですね。本当にいい体験をさせてもらいました」と笑顔です。

 
鳥取の「たくみ工芸店」や京都のショップなどで展示会を開けば、すぐに完売してしまうほどファンの多い「ちずぶるー」ですが、当初9人だったメンバーも、現在は、実働4人に減ってしまっているのが現状。

 
実は藍染めという仕事、かなりの重労働。万力(まんりき)を使って板締めしたり、ペンチで針金を通したり、「年々、辛くなっています」と江口さん。

 
そこで、現在、若いお母さんたちが研修生に名乗りをあげて、ちずぶるーの藍染めを勉強中。その頼もしい若い力に、期待せずにはいられません。
 

 

【アクセスとについて】
●藍染工房ちずぶるーへのアクセス/JR智頭駅から徒歩約13分
●鳥取県八頭郡智頭町大字智頭584-1

【WEBサイト】藍染工房ちずぶるー