探県記 Vol.08

醸造文化

(2014年・冬)

BREWING CULTURE

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神話に潜んだ真実。
島根の醸造蔵を訪ねてみました。

「古事記」では高天原からやってきた素戔嗚尊が
極悪非道な八岐大蛇を退治するため酒を造って飲ませ、酔いつぶしてから、征伐した。
その裏には山陰の高度な醸造文化が…
 
今回の探県記は「お酒」。
ということでSSI認定きき酒師であり、しまね地酒マイスター検定アドバイザーの
石原美和隊員と地酒に目がない御秒奈々隊員、私内山が巡ります。
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蔵元、米田酒造。創業明治29年、代表銘柄は「豊の秋」。
五穀豊穣を祈り、芳醇なお酒が醸し出されますようにと命名されています。
先代の出雲杜氏と寝食をともにして、充分な修業を積んだ若き社員杜氏と
蔵人たちが、伝統の地酒を醸しています。
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「すごい!」
「全米日本酒歓評会で『豊の秋 大吟醸斗びん取り』は2年連続金賞を受賞してるんです。
国内外で常に高い評価を得てるんですよ。」
酒樽を前に迫力に圧倒される御秒隊員に、優しく説明する石原隊員。
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私自信も松江で地酒を飲んでから『地酒』というものの印象や捉え方が変わりました。
その土地の気温や湿度さらに歴史などが相まって、地酒を地元で飲むということは
素晴らしいことですし、何より旨いんですよね。
 
蔵では12月下旬に新酒が出来上がり、さらに寒さが厳しくなると吟醸酒を仕込み、
3月末には日本酒の仕込みが終了。
続いて、本みりん、出雲地伝酒の仕込みが始まり、蔵人たちの1年は忙しく活気に
あふれています。
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米田酒造本店の試飲コーナーでテイスティングを楽しむこともできます。
「蔵元でルーツを探ってから飲むと一層美味しさを感じる事が出来ますよね」
「美味しい!!」
米田酒造本店の試飲コーナーでテイスティングを楽しむ御秒隊員。
「蔵元でルーツを探ってから飲むと一層美味しさを感じる事が出来ますよね」

決して譲れない、伝統製法のお醤油。

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国産原料にこだわり、自然発酵にまかせた醤油造りは、コストも手間もかかります。
創業明治36年頃、標高260mの奥出雲仁多に森田醤油はあります。
国産丸大豆・国産小麦・天然塩を使用する無添加仕込みで
熟成に2年以上を費やして造る伝統製法のお醤油は、味わい深くてやさしくて、なにより
まろやかです。
 
かつて奥出雲地域で盛んであった日本古来の製鉄法「出雲たたら」。
灼熱の中で三日三晩不眠不休で働く職人たち(むらげ)は、失った水分や塩分を補うために
自ら醤油を造り、気力と体力を維持していたのだそう。
そんなたくましい歴史を背景にして名づけられた、自然塩醸造丸大豆醤油「むらげの醤」。
効率は求めない。手間ひまをかけ「自分の子供に食べさせたい商品造り」。
森田醤油のぶれない信念がそこにありました。
 
【アクセスについて】
●米田酒造(酒蔵)へのアクセス/JR松江駅から車で約4分
●島根県松江市南田町41
●森田醤油へのアクセス/JR木次線出雲三成駅から徒歩で約10分
●島根県仁多郡奥出雲町三成278