探県記 Vol.06

島根大学

(2014年・冬)

SHIMANE UNIVERSITY

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地域への社会貢献を目指す
国立大学法人島根大学。

 

地元企業との連携から、生まれようとしている
一つの果実に、みんなの笑顔を見た。

今回の探県記は、島根大学の小林祥泰隊員からのお誘いから始まりました。
「内山さん、低カリウムメロンを見に行きませんか?」この日は秋晴れの心地良い日。
わたし内山は、御秒奈々隊員とともに島根大学本庄農場へ向かいました。
 
低カリウムメロンとは、独自の栽培技術により、果実中のカリウム濃度を
低く調整したメロン。腎臓疾患のある方などは、血液中のカリウムを尿として
排出できないため、人工透析や食事制限をする必要があります。メロンをはじめ、
一般に、生の果物や野菜にはカリウムが多く含まれるため、そういったものを
何十年も口にされていない患者様も全国に多数いらっしゃるそう。
『メロンが食べられるという幸せ』を、なんとか広められないか、
島根大学とJR西日本が挑戦をはじめました。

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「お待ちしておりました。今日はちょうど低カリウムメロンの収穫日なんですよ。」
笑顔で迎えてくれたのは、小林隊員と島根大学生物資源科学部の浅尾教授。

平成25年7月からJR西日本と共同研究を開始し、今回で3作目となります。
「最初は試行錯誤もあり、大変でしたが、なんとかここまで形にすることができました。
腎臓疾患で苦しんでおられる方のためにこれからも研究を続けていきます。」
これまでを振り返り、今後の意気込みを語る浅尾教授。
ビニールハウスの中には、立派に実る黄緑色に輝く果実がたくさん。

初めてのメロンの収穫、その美味しさに
みんなの笑顔が溢れる。

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今回、小林隊員、御秒隊員とともにメロンを収穫させていただきました。
「一見枯れているように見えますが、これはカリウムを制限しているからなんです。
収穫の一週間前には水分供給も制限し、メロンにストレスを与えて甘さを
凝縮させるんです。」
メロン栽培も奥が深い。ましてや低カリウムとなれば、さらに栽培は難しそう。

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収穫後は、みんなでメロンを試食。
「あっ、美味しい♪低カリウムと聞いていたので、もっと味が薄いのかと思っていました!」
御秒隊員も低カリウムメロンの美味しさに驚いていました。
むしろ低カリウムの方が、メロン特有の苦味が少なく、「おいしい」「食べやすい」と
おっしゃる方も多いかもしれません。
 
この低カリウムメロンが完成すれば、腎臓疾患の患っている方々や、ご家族にも笑顔や喜びが
提供できると思います。
これからも島根大学とJR西日本は様々な分野で連携した取り組みを重ね、地域社会に
貢献できるように頑張っていきます。

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※島根大学とJR西日本は平成25年11月には地域振興に関わる連携協定も締結しています。